文章での一人称は「ぼく」が好きだ。
会話では相手や状況によって自然と使い分けが決まってくるが、こういう能動的な文章では自分で選べると言って差し支えないだろう。
なぜ、「ぼく」なのか。
一番ニュートラルな感じがするからだ。
もちろん主観なので人によっては「ワタシ」こそ真ん中に感じるかもしれない。
僕にとっては、「ぼく」が真ん中だ。
「オレ」は何となく、やんちゃで、勝ち気、自分主義、利己的といった雰囲気がある。
きっとこれは、多寡は違えども万人共通のイメージだ。
「オッレっはジャイア〜ン♪」が「ワッタッシジャイア〜ン♪」ではダメなわけで、圧倒的に一人称「オレ」と言うべき人はもちろんいるが、もっと気軽に浸透している感もある。
だけれども、20代はともかく、30歳を過ぎて他人に対し「オレ」と言うのは何だか違和感を覚えてしまう。
家庭内や友人間で言う分にはいいが、紙面上でも何でも見知らぬ他人に対し語りかけるときに、30過ぎて「オレ」は無いだろうと、感じてしまう。
まあ、大抵はキャラクターを際立たせるために敢えて「オレ」と書いているのだろうけど、僕はそんなキャラクターでもないし、やっぱり違う。
一方、「ワタシ」もしくは「ワタクシ」はどうだろうか?
実際この文章郡を書き始めるにあたりちょっと迷ったのだが、「ワタシ」ではちょっとビジネスすぎるのだ。
「ワタクシ」なんてもっての外で、「ワタシ」も間を、距離を感じる。
多くの人が、まだ距離のある人に対して名乗る時「ワタシ」を使う。
ふつう、家族や友人に対し「ワタシ」とは言わないように、親愛なる読者諸氏に対しよそよそしく「ワタシ」と言わない。そう言うことである。
さて、僕が好きな「ぼく」だが、どうだろう?
子供が言う分には、「オレ」よりも可愛げがあるかもしれないが、成人が言うにはちょっと子供っぽく感じるかもしれない。
もしくは、自信がないような感じがするとか、優柔不断なイメージがあるとか、「ぼく」に対するポジティブなイメージは意外に無いかもしれない。
でも、当人が30歳を過ぎると変わってくる。
そこから歳を重ねるごとに「ぼく」のイメージが逆によくなる。
例えば、
あ〜、この人は60歳にもなって謙虚だなあ、とか
純真そうだなあ、とか
温厚な方だなあ、とか
とにかく、「オレ」をチョイスしない人が「ぼく」を選ぶのだから、その真逆のイメージになる。
僕は別に「オレ」と名乗る人が嫌いなわけではない。
ただ、自分は「オレ」じゃ無いよなあ、かといって「ワタシ」でも無いなあ、と。
そう言うわけで僕は「ぼく」に着地したのである。
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